珠光怜への一番最初の手紙

珠光怜(すみれ)へ。


昨日、お父さんは珠光怜の出生届を出してきました。


まず、生まれてきてくれてありがとう。


そしてとうとう、珠光怜ちゃんの名前が決まりました(なんか変な日本語だけど)。


まず読みは、お母さんにつけてもらいました。
これは、珠光怜のことを「すみれ(ちゃん)」と、一番呼びかけるのは(珠光怜が結婚するまでは)きっとお母さんだからです(もしかしたら結婚してからも)。
他にもいくつか候補があったけれども、お母さんはこれを選びました(もう珠光怜はお腹の中に居ましたよ)。
最初は「り」や「さ」が付く名前がいいなと言っていたのですが、お母さんの中でこの「すみれ」が一番しっくりきたようです。


お父さんもこの名前はいいと思ってます。それは最後に回すとして。
それでは漢字です。この3文字に行き着くまではたくさんたくさん考えました。でもその中で選ばれた3文字だけの紹介です。



珠光怜の「す」は「珠」。これは「きれいな玉」という意味です。英語だと「orb」です。
珠は宝石のように大きさや量で優劣が付くのではなく、いかに「球」という完全な形に近いか?が価値になります。


しかし、世の中に存在するもので、「完全なもの」は存在しません。
でも「完全なもの」に近づこうとすることはできます。


そう、「珠」は磨くものです。最初はゴツゴツだった石が磨いて磨いてより綺麗になっていきます。
人生、良い時も悪い時もあります。それでもいつも自分を磨くことだけ忘れない人になってください。


そして、この「珠」の中には、お父さんの苗字の「木」と、お母さんの旧姓の「大」が入っています。
珠光怜ちゃんがこの先、どんな苗字になっても、お父さんとお母さんは一緒に居ます。




珠光怜の「み」は「光」です
光の速度は、今の科学の中では、一番早く、そして、どんな観測条件でも「普遍」なものです。
波なのに物質みたい、物質みたいなのにエネルギーそのもの、とっても不思議なものです。(そのことを珠光怜が知るのはいつかなあ)
でも分かっているのは、全ての人間、植物、などは光なしには生きて行けない、ということです。


それと、時間を越えるものでもあります。まあその話は難しいからいつかにして、夜空に浮かぶ星の光は、光であるとともに、過去の歴史を表すものでもあります。30光年先の星は30年の旅を。200万年先の星雲の光は、200万年と旅をしてきてます。


珠光怜の遺伝子も、お父さんお母さんの30年、さらにそのお父さんお母さん、さらにさらに・・・と200万年いや何億年か旅をしてきた遺伝子です。そう考えるとちょっとうれしくなりませんか?


そして、この2つの文字をあわせると「珠光」になります。


ここから先はここまでうまくいっているとは知らずに調べてみたらこうで、お父さんも驚いています。(一休さんに師事していたことがあるのは知っていましたが)



村田珠光(しゅこう・じゅこう、1422〜1502)

大徳寺一休宗純から禅を学んで茶禅一味の境地に至り、侘び茶を完成、わが国の茶祖と称される。珠光は、茶の湯の場所における人間平等、茶会を成立させるために必要な客振り・亭主振りの重要性、酒色の禁止などを説き、それまでの通俗的、遊興的な茶を一新したが、もっとも重要な点は、茶室と茶道具を改良し、まったく新しい創造を試みた点にあるだろう。それまでの書院の広間にかわり、草庵の四畳半こそ真の座敷であるとしたことや、数寄屋飾りの法式の考案、床の掛け物を唐物から名禅の墨蹟を第一としたこと、また茶杓象牙や銀ではなく竹にするなど、唐様の茶を完全に和風へと改めた。
なお、彼の名言「藁屋に名馬をつなぎたるがよし」とは、侘びたるもの(藁屋)に名馬という優品・名品を組み合わせ、思いがけない対比のなかに美を見いだす珠光の茶の神髄を端的に言い表していることばである。


珠光とは、室町時代大徳寺の一休に師事し、日本式の茶道を創始した村田珠光のことで、奈良市内の称名寺の出身であることは、一般にはあまり知られていません。

珠光怜ちゃんが生まれた今、お父さんとお母さんは金沢文庫の「称名寺」の近くに住んでいます。何かの縁かもしれませんね。
また、80歳まで生きていますから、当時の人間としては破格の長寿だといえます。(人生50年〜の頃ですから。)
これも知らずに選んだのでますますうれしかったです。



そして珠光怜の「れ」は「怜」。この字は、4人のおじいちゃんおばあちゃん全員がとっても気に入った字です。

立心扁(リッシンベン)に、“令”。
“令”は、神様から帽子をひざまずいて受ける様子からの字義で「優れた人」を表す字です(令嬢とか、司令とか)。


他にも
伶:人となりが優れている
玲:容姿が優れている
という字もあったけど、
怜:心が優れている。能力が優れている。


という字を皆で選びました。「光」のところでも触れたのだけど、珠光怜はただ1人で存在するのではなくて、お父さんとお母さん、そのまたお父さんとお母さん(祖父/祖母)、さらにまたそのお父さんとお母さん、、、、連綿と続く歴史の中で生まれてきました。


そして、最後にもう一度、「すみれ」は花の名前でもあります。
スミレの花言葉は、
http://www60.tok2.com/home/winternight/flower.html#s


菫(すみれ) 貞淑、謙虚、愛、小さな幸せ
菫(すみれ)【黄】 慎ましい幸福
菫(すみれ)【白】 無邪気な愛
菫(すみれ)【紫】 愛

4つに通じるのは「足るを知る幸福」「量では測れない幸福(愛)」かな、と思ってます。
高度成長期〜バブル期までの「強すぎる日本」を体験した世代には「大きな幸せ」を掴むような名前が理想なのかもしれないけど、これからの世の中はちょっと違うのかな?と感じています。


多分、これからの時代は「足るを知る」時代なのだと思います。
環境問題とかが顕在化して、「経済成長=幸福」ではなく、「Sustainable(持続可能)な循環」こそが必要な時代と思います。って珠光怜とこんな話をする頃の日本と世界はどうなっているのかな?


量を追う世の中から、珠光の「侘び」のような、「質」や「取り合わせ、対比」。でも質素なだけでなくて、本質を切り出したような美、を目指せるといいな。


それに、お父さんは珠光怜の為にこれを調べるまでスミレって儚げなイメージがあったけど、さりげなくかなり強い花(野草)なことが調べてみて分かったよ。

スミレ想
http://www5c.biglobe.ne.jp/%7Eskke/sou/index.htm 一覧
http://www5c.biglobe.ne.jp/%7Eskke/sou/tuyoi.htm すみれの強さ(壮さ)
http://www5c.biglobe.ne.jp/%7Eskke/sou/pioneer.htm すみれはパイオニア



なーんてことを、色々色々と考えてつけた名前です。たった3文字だけど、沢山の人の色々な想いが込められています。本当は珠光怜の意見も聞いてあげたかったけど、皆で一生懸命考えてつけました。気に入ってくれたら嬉しいな。


(裏話は別の日に)