中1馬上鉢巻取り

見どころは主に3つです。

  1. 中1の成長と、その喜怒哀楽(すぐ分かります)
  2. 騎馬戦との比較(午後まで居る場合)
  3. 安全性と競技性とのトレードオフ

中1の成長と、その喜怒哀楽

中1馬上鉢巻取りの見どころは、何と言ってもかわいい中1と、それを指導する高3との喜怒哀楽っぷりです。

運動会は5月ですから、中1はほんの1ヶ月半前まで小学生だった身です。
それがたった1ヶ月で開成にどっぷり漬かっています。
でも、高3と歩いていると、まさに「大人と子供の体格差」です。成長期って恐ろしいですね。


3ヶ月前に中学受験塾で、遊びを我慢してまで勉強していた子供たちが、騎馬組んで戦います。


とはいっても、高1の騎馬戦ほどの迫力は無いですが、本人なりに一生懸命やっています。
後ろで高3生たちが、「おらー!」「ぶっ倒してこいー」、とメガホンぶったたいて応援します。



そして勝つと、親の喜びっぷりを越えて、高3同士、高3と中1同士で抱き合って喜びまくります。
もし、その高3が10か月後に東大合格したとしてもあそこまでの喜びようはしません。


そして、負けると・・・これは見てのお楽しみということにしましょう。

多分、見たことない人は驚くと思います。
1人1人が、ほんの1ヶ月半前まで、各小学校で神童と呼ばれていた子供たち。
8チーム中7チームの子供は、価値ある挫折を手に入れることでしょう。


そして、興味が続く人は、この時の中1と高3の関係と、昼休みを過ぎての中1と高3との関係を見てみましょう。


騎馬戦との比較 〜 黒組は有利か?

もし、既に初級編でご紹介した高1の騎馬戦も見ていたならば、「体格と戦い方」が、3年間でこんなにも違うものなのか、と比較で楽しむことができます。


もう1つ、これは隠れた観戦要素なのですが、「黒組は本当に有利か?」を見るのも乙です。

我々日本人の髪の毛は黒いので、鉢巻をした時に、他の色に比べると黒の鉢巻は目立ちません。
ですから、鉢巻を取られにくい、というのが中1の時に定説でした。



実際、見ていると、黒組はあまり1回戦で負けていない気がします。
気にしてみるのも面白いと思います。

というのも、やはり試合は「どちらかの組に属した気になって」観戦したほうがハラハラして面白いです。
私のように卒業生であれば、自分の組の色がありますから、自然とそうなりますが、見学者の皆さんはそうではないと思いますので、とりあえず黒組の気分でいると勝つ確率は若干高いかと思います。


安全性と競技性とのトレードオフ


さて、開成の運動会の見どころは、すべてが生徒主導で作られているところです。

高3が中1を教えるのもその分かりやすい例ですが、各競技のルールも担当の生徒たちが議論を重ねて作り上げたものです。

そこで常に焦点となるのは安全性と競技性のトレードオフです。


安全性を重視しすぎてしまっては、競技としてまったくつまらないものになってしまいます。
しかし、競技性を重視して安全性に欠陥があると、あるとき重大事故が起きて競技そのものが消滅してしまうかもしれません。


そんな中、もっとも身体が出来上がっていない&開成入りたての中1馬上鉢巻取りは、最もその要素が色濃く表れます。
着目ポイントは様々ありますが、例えば私のころからずっと議論がされていて、年により変化がある分かりやすいのは以下の3つがあります。

  1. 防具の場所とその質
  2. 最初に体当たりはどらくらい認められているか?
  3. 乱戦の可否

防具は見ると分かりますが、中1だと、首が埋まるくらいの重厚なプロテクターに守られている場合があります。

次に体当たりですが、全く認められていない年(その場合、立ち合い、と呼ばれることも)もあれば、1.5mだけ認められたり、必ず正面からの体当たりのみだったりと、バリエーションは様々です。

そして、乱戦の可否とは、一騎vs一騎のみなのか、一騎vs二騎、あるいはそれ以上が認められているか、です。

一騎討ちのみですと、騎馬の優劣だけで決まりますが、強い騎馬でも二騎を相手にするのは大変です。でも力勝負の騎馬戦と違って、鉢巻さえ取れば相手を倒せるわけですから、両手や全身をうまく使って、二騎を相手にしつつ相手を倒す猛者もいますから、目が離せません。




何はともあれ、どんな形の競技になっていても、それは生徒たちが自分なりの最善を尽くして出来上がったものです。


堪能していただければと思います。