鳥居型人材による鳥居型産業の創生

酉年最後の大安に、「鳥居型人材」と「鳥居型産業」の創生について宣言したいと思います。

「鳥居型人材による鳥居型産業の創生」というコンセプトは

提供価値は、技術蓄積を基にした新規事業創出
顧客は、技術蓄積の大きい組織およびその構成員(後述)
根拠は、分野を超えた課題解決の共通言語 TRIZなら過去の知を抽象化し、異分野に伝わる知にできることです。



上記の顧客は、まずは企業や団体ですが、最終的には日本、そして世界だと考えています。そのことで、次世代も安心して暮らせる社会にするのが目標です。


これを実現していくために、TRIZを軸にこれまでも行動してきましたし、これからも頑張って行こうと思います。TRIZを拡げるのが目的ではなく、この鳥居型産業を創生するのが目標であり、TRIZなどがその手段です。


目標に対し、まだまだ微力な自分ですが、来年以降も折に触れ、ご助力いただいたり、色々とお教えいただければ幸いです。



以下は鳥居型人材や、鳥居型産業についての定義や補足説明です。


鳥居型人材について

鳥居型人材とは、「T型人材」の発展形である「Π(パイ)型人材」のさらなる発展形です。


T型人材とは、1つの専門分野で深い知見(=問題解決経験)をもっているだけでなく、幅広い分野の人と話せるだけの知見(教養)を持っている人材のことでした。(専門分野だけの人をI型、教養だけの人が一型)
これに対し、Π型人材と呼ばれるのは、1つではなく、2つ(以上)の専門分野を持っていることです。


Googleの登場で他分野の技術が調べやすくなり、2つ以上の専門知識を持つΠ型人材にはなりやすくなりました。


しかし、せっかく2つの専門知識を持っていても、その2つの分野を融合しないと、新しい価値は生まれません。
鳥居型人材は、この2つの専門分野をただ持っているだけではなく、この2つの専門分野の知見を「技術的に一段深いところで融合できる」人材です。

IT業界を例にしたT型→Π型→鳥居型 人材

IT業界では、複数のプログラミング言語を操れ、要件定義もでき、デザインパターンを知っているような人が「鳥居型人材」の一例です。

オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン

1つの言語だけでしかプログラムをかけないプログラマがI型人材。
プログラムはかけないが、顧客のビジネスに合わせた要件聞き出しはできる「営業的SE」が一型人材

→一型なSEはしばしばプログラマにとって無茶な要件を顧客と約束してきます。

何か1つの言語はプログラムがかけて、顧客のビジネスに合わせて、そのプログラミング言語での実装形態も想定しつつ要件定義ができる、「プログラマあがりのSE」がT型人材

→T型人材はプログラマ側にとっては妥当な要件定義をしてくれるけれど、顧客側にとっては割高な要件定義になる可能性があります。

複数の言語でプログラムがかけて、顧客のビジネスに合わせて、最適なプログラミング言語を提案しつつ要件定義ができる、「頼りになるSE」がΠ型人材

→Π型なSEはプログラマ側にとっては妥当な要件定義ができ、顧客側にとってもリーズナブルな要件定義になる可能性が高い。


でも、「既にある複数の選択肢から何かを選ぶ」という方向は人間よりもAIの方が得意になります。

そこで、そんなΠ型なSEが、デザインパターンを学んで「言語を超えたIT実装の共通性の勘所」が分かる鳥居型人材

になると、自分の学んでいないプログラミングの範囲や「プログラミング以外を使う」ことも含めて実現可能性が出てきます。


プログラマ同士でも、デザインパターンという概念が通じる同士か否かで、議論の質が大きく変わるのは、デザインパターンをご存知の方は分かると思います。


鳥居型産業について

鳥居型産業とは、現在よく行われがちな「Π型の協業」による失敗を避け、日本に新産業を産むためのコンセプトです。


ICTの発展による異業種交流機会の増加、そしてT型人材の活躍により異なる専門分野を持つAとBによる協業というものはよく行われる機会が増えました。


しかし、企画段階ではA・B各社(各部門)の強みが議論されるものの(Πの横方向)、いざ、それぞれの専門分野が必要となる実行(実装)段階となると、A・Bそれぞれでの実行に落ちてしまい(Πの縦方向)、結果的にあまりいいものが生まれていないのが現状だと考えています。


これは、結局のところ、AとBのお互いに持っている専門的な問題解決経験について、「技術的に一段深い融合」がなされていないからだと考えています。
そこで必要なのが、鳥居型人材のところでもふれた「何ができるかを、技術的に一歩深い形で教えあい、語り合える、共通言語(鳥居の下の横棒)」だと考えています。

そのためには、前述の鳥居型人材が必要だと考えています。

鳥居型人材を養成する一手段としてのTRIZ

TRIZ(トリーズ)は世の中で「問題解決手段」の(もっとも強力だが最も難しい)一つとして認識されています。
しかし、私にとってはTRIZは「問題解決手段」の前に、「自分がかつて行った問題解決を異なる分野の方と共有する手段」として有用だと考え、利用しています。


実際、TRIZ(トリーズ)は超発明術、として日本で紹介されましたが、もともと、TRIZが発明されたのは、ロシアの天才、G・アルトシューラーが

「ある分野で新しい問題解決とされたものは、9割方、他の分野では解決済の問題であった」

という発見から始まり、「分野を超えた問題解決の方法」としてできあがっていったものでした。ですので、TRIZの使い方としては相性が良いと考えています。

トリーズ(TRIZ)の発明原理40 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考支援ツール
(発明・特許カテゴリのベストセラー1位を獲得した拙著、お陰様で第3刷)

コンセプトの再掲と、クリエイティブ・コモン宣言

ここまで長文をお読みいただき、ありがとうございました。
最後に再掲ですが「鳥居型人材による鳥居型産業の創生」のコンセプトは

です。


上記の顧客は、まずは企業や団体ですが、最終的には日本、そして世界だと考えています。
これを実現していくために、TRIZを軸にこれまでも行動してきましたし、これからも頑張って行こうと思います。
目標に対し、まだまだ微力な自分ですが、来年以降も折に触れ、ご助力いただいたり、色々とお教えいただければ幸いです。



(今のところ、Google検索しても他にお一方しかいないようです。似た用法ですが、“熟成した教養”という言葉で、似たことを指していると思われます。
 どれだけの効力があるかわかりませんが、「鳥居型人材」「鳥居型産業」というフレーズは発明シンボル同様、、この場でクリエイティブコモン(CC-BY)であることを宣言しておきたいと思います)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス