アナと雪の女王によるアレンデールの栄枯盛衰
アナ雪、娘が2人いる我が家でもご多分に漏れず大ヒット。
映画館で私は1回、妻と次女は2回、なんと長女は3回も見ました。
そしてもちろんDVDは家に届きました。
カーステレオはそれより前に届いていたアナ雪CDで、いったい主題歌は何百回聞いたことか分かりません。
さて、真実の愛に目覚めたアナと雪の女王が治めるアレンデールはいったいこの後どうなったのでしょうか?
それは間違いなく、豊かになったことでしょう。
エルサが最後にオラフに特製の雪雲を作ってあげた時にこれを確信しました。
あれだけの小さな雪雲を作れるほどに能力が制御できるということは、上空に適切な大きさに雪雲を作ることができます。
雨も雪も、雲の中で氷の結晶(氷晶)が上下して、大きくなった粒が大地に落ちてきたものです。
雲から地面に落ちてくるまでに溶けなければ雪、解ければ雨、ということです。
能力が暴走していたからこそ、アレンデールは雪に覆われましたが適度な出力をコントロールできるとなれば、エルサの力は
「雨を降らすことを含めて、天候を自在に操る能力」
、ということになります。
これは、時代背景を見る限り、農業や漁業といった一次産業を主とした世界では、神にも等しい能力だと言えます。
今でも、漁船の持ち主の一部はわざわざ有料の天気予報を購入していますし、農業においては「天候デリバティブ」と呼ばれる商品もある程です。
ウェーゼルトン公爵は、アレンデールに降り立つときに「この国の豊かさの秘密を探るぞ」と言っていました。
作中で特に秘密には直接的には触れられていませんでした。
しかしもし、アレンデールやその近郊で雨が降らないことで困っている時、エルサの両親が、そっと夜中にエルサを連れ出して、傍らで抑制しつつその力を解放させていたとしたらどうでしょうか?(封印の手袋以外にも類似のマジックアイテムがあれば、それはより容易に可能でしょう)
どちらにせよ、劇中後のアレンデールは、周辺のどの国よりも、天候に恵まれ、作物は豊作、漁業も安定して稼働できる・・・、それはそれは幸せな国になっていることでしょう。
町中に子供たちの笑顔が満ち溢れていること間違いなしです。
めでたしめでたし・・・ (で終わりたい人はここまでで)
アレンデール、エルサ亡き後の運命
さて、ここから先は、あまり愉快でない話です。
おそらく、アレンデールはエルサが居る間、繁栄を続けるでしょう。
何しろ第一次産業の収入が安定的に豊作が見込めるからです。
天候が自分たちのスケジュール通りに行くのですから、
最も効率のいい作物の植え方ができます。
そうなると、子供も産みやすくなり、人口も増加するでしょう。
ますます国力は富んでいきます。
エルサも、事故に遭わなければ、天寿を全うするでしょう。
魔法の力を制御すれば、並の病原菌には負けないでしょうし、
免疫性の病気であっても凍結すればいいわけですから。
・・・しかし・・・エルサの魔法の力がその子孫に受け継がれなかったとしたらどうなるでしょう?
天候が自分の思いのままにならない(それが普通ですが)ようになった途端、
アレンデールの収入は一挙に落ち込むでしょう。
そう、実はそれまでのアレンデールの生産高は「エルサバブル」だったわけです。
(金融のバブルと異なって実体を伴ってはいますが)
その頃にはエルサが天候を制御できる前に仕事に就いていて、
そういう不確定な天候を当たり前として経験を積んでいた年齢層は
ほとんどがすでに天に召されていることでしょう。
大量の人口を抱えているのに、食料が確保できなくなった国・・・
そんな国が辿る道は主に次の2つです
- そのまま餓死する
- 周辺の国を侵略する
アレンデールはどちらでしょうか?
衛兵が居たり、貿易できるほどの周辺国があるわけですから、おそらく・・・
どちらにせよ、餓死か、侵略か、多くの生命が天寿を迎える前に失われることでしょう。
アレンデールに救いはあるか?
さて、そんなアレンデールに救いの道はあるでしょうか?
歴史的に見れば、あります。
第一次産業から、第二次産業、第三次産業へと、産業構造を変化させ、人々が望むものを変えていくことです。
大日本帝国時代の世界のようにただ単に殖産興業に励みますと、生めよ殖やせよ、となりますが、第三次産業による娯楽や教育が進んだ国は、それに伴う少子化が起こることがどの先進国をみても見てとれます。
そう、アレンデールにおいて、収入が多くても、人口が増えなければ、食料自給率は100%を超えており、多少の貧乏はしても、他国を侵略する必要はないでしょう。
そして多少は貧乏であったとしても、ゲームやアニメ、マンガといった低価格で楽しめる娯楽が十分そろっていたら・・・そんなにさみしくはないと思います。
産業で半世紀前より豊かになっているけれども子供は増えていない、という状態を作ることができるでしょう。
あれ、そんな国、どこかにあったような?
そう、実は少子化は、問題ではなく、答えなんじゃないか?と考えると、見えてくる世界があります。
TRIZなら<#13 逆発想原理>ですね。