20年後と、さらにその先へ

下記の記事によれば、
http://agora-web.jp/archives/1600162.html

高校の同級生が起業した生命保険会社の入社試験が好評の様子。
その問題とは、これ。

現在の小学校1年生が大学を卒業して就職する頃には、65%の人が今は存在していない仕事に就くという調査があります。現在から20年後の社会と仕事の変化について、予想してください。

1・20年前から現在にかけてもっとも成長した産業ともっとも衰退した産業について、データを用いてその背景とともに説明してください。
2・20年後の未来に、現在と比較して大きく変化している社会・産業の状況を予想し、理由とともに説明してください。
3・2で予想した変化に伴い、20年後には、現在存在しないどんな仕事が新たに生まれているでしょうか。
新たな仕事を1つ挙げ、その仕事が生まれる背景と、その仕事に就くにはどのような能力が必要か予想して説明してください。

ライフネット生命 2015年新卒採用課題 重い課題 Bより

これはが好評なのは素晴らしいと同時に、私にとっても嬉しいことです。

・・・というのも、この出題の前提にしていることは、私がTRIZの講座を開いたときの初回に下記URLの動画と共にいつも話すことだからです
【日本語訳】Did you know 3.0 〜あなたは知っていましたか?
https://www.youtube.com/watch?v=kj9pR_b3u4E&feature=kp


小学1年生が大学を卒業するというとずいぶん長いようで、実は15年しかない。
そう、15年たつとほとんどの仕事が変わる。
「価値を産み出している仕事」は特に。

そして、15年というのは、私たち30代後半の世代にとっては、50代前半を迎える年、ということでもあります。
その頃には年金制度は崩壊していると考える方が正常な類推能力の持ち主でしょう。

となると、社会をちゃんと回していくには、私たちの世代は少なく見積もっても70代前半まで、さらいもう20年間は働き、社会に価値を提供しつづける必要があると言えます。。

・・・つまり少なくともあと35年間。そしておそらくその前半のどこかで「今は存在しない仕事」に就くことになる、と想定すべきでしょう。。

さて、もとの記事に戻って、「こんな入社問題を解ける人なら起業した方がいい」という意見。
それは、この問題を本気で解いているわけではない人の早とちりだと思います。

もちろん、この問題にあるような意識を持っていて、既に行動に移していて「そもそも既にある企業の就職活動など気にも留めてない」人もいるでしょう。
しかし、こういう視野で考えられる人は、15年先よりももっともっと先のことを知りたくなっているものです。

喩えて言うなら、イチローはたとえ200本打ってももっともっと打ちたい、美味しんぼ海原雄山はもっともっとおいしいものを食べたい、100億売り上げた社長はもっともっと儲けたい。
これと同じように「少し先が見えた人は、もっともっと先が知りたい」のです。


だから、そうした長期的な視野を語れる相手を探しているはずです。
ですから、そうした人は、ライフネット生命の入社問題を見て、入りたくなっていることでしょう。


だって、そうした長期的視野で創造するものには、色々な年代の人が必要なことが分かるからです。
未来を予想するのに一番いい方法は、長いスパンの歴史を、様々な角度で見てみることだから。


きっとおそらく、岩瀬くんもまた「産業革命江戸幕府崩壊、そして現在の産業構造に与えた影響」について考えていることだと思います。
そして100年後から今を振り返った時に、自分が生きているうちに歴史の大転換点に立つことに身震いしつつもワクワクしていることでしょう。

そう、農業革命と、産業革命が、どちらも国の在り方、一個人の人生の在り方を大きく変えたように、私たちは、IT革命が国と個人の在り方を大きく変える、本当に「転換点」にいます。

もし、この設問をを解くだけの能力がある人材であっても、そういう視野を持っているトップの下で働く方が、20代の伸びしろはずいぶんと大きい。

この視座が、こうして就職活動の時から受け取れる今の新卒は幸せ者だと思う。
私がこの視座を師匠から受け取ったのは、入社3年目、そして腹に落ちたのはその6年後(6年前)でした。

彼の会社に、よき人材が入っていることを心から願います。

そして、この記事をシェアしてくれた豊司おじさん、ありがとうございます。