いよいよ高3、棒倒し


開成と言えば運動会、運動会と言えば棒倒し、と言われるほど有名な棒倒し。


相手側の棒を倒せば勝ち、というシンプルな勝敗条件で、ビジュアル的にも分かりやすい競技です。


しかし、このシンプルな勝敗条件の裏に、棒の周囲で攻守それぞれ様々な形で役割分担を行って棒を倒しに向かっています。
「団子」と呼ばれるルールが無くなってから、戦術的なところで面白味は半減してしまいましたが、それでも見どころはあります。

とはいえ棒倒しに関しては、様々なところで紹介されていると思いますし、目に見えて面白いので、この稿では少しべつのことを。


文字通りの「縁の下の力持ち:座ゴロ」

棒倒しには文字通りの「縁の下の力持ち」が居ます。

棒がまっすぐ立っている状態(開成用語で「直立」と言います)には見えないのですが、棒が傾いてくると、棒の根っこに、棒をしっかり抱きしめている3人の生徒が露わになります。このポジションは、座り衣(ころも)、略して「座ゴロ(すわごろ・ざごろ)」と言います。

「衣(ころも)」とは、守備側で棒に直接触れている6人のことで、直立の状態の時から見えている3人(立ち衣(ころも)、略してタチゴロ〜私はこのポジションでした)と、この座ゴロの3人です。ちょうど、衣(Tシャツ)を着ているので覚えやすいかもしれません。

この座ゴロ、一目見て想像すれば分かる通り、試合がどうなっているのかほとんど見えません。しかも、棒にしっかりとつかまっていないといけないので身動きもできません。

しかし、この座ゴロが居なかったら、あんなに長細い棒はあっという間に倒れてしまいます。棒をそのまま立てるのと、底に粘土をくっ付けた棒、どちらが安定して立てられるかを想像していただければ、その差は歴然です。

座ゴロ、そしてもっと多くの縁の下の力持ちたち。

このように必要不可欠なポジションですが、試合を楽しめるかというと正直言って難しいポジションです。
この座ゴロにどういう生徒が奉仕しているか、そこには様々なドラマがあることも多く、文章ではとても語れないものがあるのですが、言えることが1つ。


今まで何度も運動会を見てきましたが、この座ゴロに欠員があるまま棒を支えている組は見たことがありませんし、試合途中で他の皆を見捨てて棒を離れる座ゴロも見たことはありません。


一見当たり前のように見えますが、もし、自分が50人ほどの集団のリーダー&構成員として、本当に同じことが可能だろうか? 考えてみると実はかなりすごいことです。


他にも、運動会では縁の下の力持ちたちが沢山働いています。


競技に見慣れてくると、競技中に、実際の競技者と同じくらいの人数が要る「審判」

グラウンドや用具、進行その他を行う「運動会準備委員会」


その人たちが気になり始めたら、中級者への入り口です。


運動会には開成の全てがあるとまでは言いませんが、運動会なくして、開成を語るのは不可能でしょう。



今年は多くの人に、開成の運動会を楽しんでいただけたらいいな、と思います。