海の比重=公私のリソース差がほぼ0になった(前編)。

前回の日記(沈みかけの船と、鼠と、海 - それも正解です)にて船(=企業)が沈みゆく理由。それは船の故障ではなく、海の比重が0になりつつある、というお話をさせていただきました。


これが何を指しているか?それは「企業内」と「企業外」でのリソース(情報・資金・資材・技術)の差が数百倍から数割増し程度に変わったということを指しています。


その前に、改めてインターネット以前/以後で「情報」の入手コストが激変したことを省みてみましょう。


20年前は、「今現在の愛知県の人口は何人か?」なんていう情報すら、一般家庭ではすぐには手に入りませんでした。図書館に行ってもあるのは5年に1度の人口調査。
ここで、愛知県庁に電話をすれば最新のが分かるのでは?と、気づいて愛知県庁の電話番号を調べて、県庁の職員を煩(わずら)わせて、ようやくこの情報を手に入れられました。

一方で、会社の中には、愛知県に営業所なり、商圏がある大会社なら、人口は勿論として、その年代別構成比、世帯の分布などのマーケティング情報がふんだんにあり、それは一般家庭が持っている情報とは桁違いでした。

しかし、今となってはインターネットで、ものの数分もあれば十分な情報が集まります。もちろん企業しか持っていない情報もありますが、「企業内でしか持っていない情報」と、「一般市民がアクセスできる有用な情報」の量では後者が圧倒的に多くなってしまい、その差は「数割」いや「数パーセント」でしかありません。


このことが、情報だけにとどまらず、企業と個人でのリソース(資金・資材・技術)の数百倍の圧倒的な差をも、数割程度まで縮めてきました。


ここで、基本に立ち戻ってみましょう。なぜ会社員は月給をもらえるのでしょうか?

「毎日、8時間(以上)働いているから」は、主観的に経済の流れのごく一部を切り取っているだけで、マスバランス・マネーバランス的に片手落ちです。

「企業が商品を売って売り上げを立てている」からこそ、その中から人件費として給料が支払い続けることができています。つまり、商品を買って下さる購入相手に「なんらかの価値をGive」できるからこそ、「売り上げをTake」し、月給の原資となっています。


そしてなぜ企業の商品が売れる=消費者に買ってもらえるかと言えば、個人で作成したものよりも、企業が作るものの方が性能が高く、入手しやすかったからでした。


これを可能にしていたのが、企業と個人で使えるリソース(資金・資材・技術)の圧倒的な差だったのです。

ところが、その差がぐっと縮まりました。

資金力における企業と個人の違い

まず、資金。家では住宅ローンで小遣いが2万円/月=一日当たりの小遣いが数百円しか認められていないヒラのお父さんが、会社の接待では数〜数十万円をゴルフ場で一日で使いました。家では数〜数十万円の電化製品を買うとなると大事ですが、会社での投資案件では数百万円・数千万円のお金を簡単に扱っていました。


つまり、同じ一会社員でも、私生活と会社生活では使えるお金に2ケタの差が有ったわけです。



では今はどうか?課長でも20万円を超えるものは色々な人に話を通さないといけない。しかもその課長になれる人すら少ない。
一方で、ベンチャーキャピタルクラウドファンディング、入社1年目でもなんでもやりたいことが人の心を打てば、100万円、いや数千万円だって「会社外」の個人で集められます。


かつては、給料の元となる「他者への価値提供」を行うのには企業、特に「大企業」の社員になることが資金・資本的にも有利」でした。が、その差は随分と小さくなりました。


しかも、後述しますが、このことは「お金」だけにとどまりません。

いわゆる「リソース」と呼ばれる、資金・資材・技術、全てにおいて、起きています。


長くなったので、「資材」と「技術」に関しては次の日記(海の比重=公私のリソース差がほぼ0になった2 - それも正解です)で。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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