蒼天航路 beyond the heabens 最終回

ここのところ沖縄の更新ばかりになっているけれども、今日はひとつの区切りがあった。
といっても、日常生活ではなく、蒼天航路というモーニング連載の曹操孟徳を主人公にした漫画が最終回を迎えたのだ。
そう、この日記の題名が「so-so航路」という名前なのもこの漫画が由来だ。


思えば15年以上前の中3の時に読んだ吉川英治の「三国志」で、主人公の劉備をさしおいて僕の心をわしづかみにしたのはこの曹操だった。それ以来、色々な三国志の書籍を読んだ。(もちろん正史も家にある。ハードカバー版で)
一時期、あだ名が「ソウソウ」だったこともある。


そして、その後高校生になって読み始めた「月刊アフタヌーン」に「地獄の家」という連載漫画があった。北春郎(きたはろう)という役者が主人公だったのだが、これがまた桁外れなスケールで型破りなものだった。その作者が、モーニングで曹操を主人公とした連載を始めるという。始まる前から期待で胸いっぱいだった。そしてその期待に違わず、その第一回から従来の三国志漫画にはない始まり方だった(今でもそのときのモーニングは取ってある)。


それからずっと、木曜日が来るのが楽しみだった。途中で原作者が死んだり、途中に長期休載がはさまれたり、色々とあったけれども、そのレベルはずっと高かった。
この蒼天航路のすごさは、「無様に負けたり、無能さをあらわしたり、暴虐だったりと脇役を貶めることによって、主人公を引き立たせる」という三国志演義(や世の中のよくあるマンガ)の従来の方式ではなく、「世の中の悪といわれるものにも、芯の通った“信念(あえて正義とは呼ばない)”を持たせて、それをさらに曹操が超えていく」というものだった。


まず、およそどのマンガでも暴虐にしかかかれない菫卓。裏切りをなんとも思わない武人と書かれる呂布。無能のお大尽にかかれることが多い袁紹。それらが皆、「旧体制の建設的破壊としての菫卓」、「龍の息遣いのみで生きていく純粋戦士としての武神・呂布」、「戦という場を陽の気で満たすほどの陽の気を持つ王者・袁紹」としてこれ以上ないくらいに魅力的に描かれる。
まあ、程イクの功績が曹操に吸い取られて、まるで無能に書かれてしまっている面があるけど(笑)
#その後、曹操孟徳正伝 や、火鳳燎原 のようなこういうマンガも増えてきましたが。

書き始めるときりがないけれども、連載が始まってからの11年間。このマンガとリアルタイムに同じ時代を過ごせて幸せでした。ありがとう、イ・ハギンさん、王欣太さん。
「伝説とは過去のことだけではない、今まさに進行中のものもあるのだ」とはあなた自身に言えることだと思います。
イチロー選手なんかもそうだと思うけど)