グローバルという言葉に感じていた古臭さの正体

グローバルという言葉大好きな方には大変申し訳ないのだが、
「これからは英語だ!グローバルだ!世界だ」
という言葉に、常に「古臭さ」を感じている自分がいた。


でもその感覚を共有できる人はほとんど居ない。
(どれくらい少ないかと言えば、TRIZの良さを共有できる人より少ない。笑)

自分だけなぜそうなんだろうか、ということに、大伯母(祖母の姉)の死でようやく気付いた。というエントリ。(プラス、自分なりのglobal論)


結論から言えば、「少しだけ特殊な家庭事情から、世界をまたにかけて活躍、と聞くと、どうも祖父母とかその上世代を感じる」逆転現象がもとになっていたのかぁ、という話。そして、「世界に出ていく人ではなく、世界から日本に来させる人こそがglobalだ」というのが持論。


交通手段や情報網は時間が進むと共に整備された。そのため、世界との距離が近くなり、「自分の身近な人が世界に進出した」というのは最近になるほど多くなるのが普通の感覚なのだろう。

でも、自分の場合は違っていた。

自分は普通に日本企業に勤めているのだけど、父は某外資系の日本法人に勤務していた。
自分が小学生の時までは、父はよくアメリカに長期出張にいっていた。
家にもよくアメリカ土産を買ってきてくれたものだ。

だけど、自分が中学生くらいになると、あまり行かなくなった(仕事の内容が管理職や社内講師的なものが多くなったかららしい。親会社の経営がそれまでほどは儲からなくなったのもあると推測するけど)


まぁ、そこまでならよくある話だろう。
でも実は、(母方の)祖母は父親の仕事の関係で、アメリカで生まれ、マニラで幼少期を暮らし、ブラジルに姉がいた。(この姉=冒頭の大伯母、平田美津子さん。その生涯は「世界市民的な移民女性=平田美津子という生き方=第1回=英語で教育された才女=父と兄弟3人は外交官 – ブラジル知るならニッケイ新聞WEB」に詳しい)


その結果、私自身のいとこは国内にしか居ないのに、母のいとこはブラジルで医者やってたり、フランスで大学教授やってたり、なんだかとってもglobalだった。


さらに、そんな祖母には父と養父がいるのだが、父は外交官(美津子さんと共通)、養父(私の曾祖父)は三井物産のロンドン支店長だったらしい。んで、いとこたちは何人も外交官。
さらにglobalだ。


なので、京都の家のサイドボードなどには、思えばなんか他では見ないものがあった気がする。


そんな状況があっておそらく、「グローバル!」「海外!海外!」と声高に叫んでいる人見ると、脳細胞では祖父母世代を思い起こしてしまうのだろう。
#自分の上の世代に比べると、自分がいかに平凡な人生を送っているなぁ、と思う。そう考えると、妹がバングラデシュ出身のオーストラリア人と結婚したなんていうのは、そう驚く話ではないのかもしれない。


もちろん一時的に海外に出るのは良いと思う。私もMITとの共同研究で少しの間日本を離れることで、日本の特徴が本当に違って見えるようになった。そして、日本が世界の一員であるということも。


しかし、父や祖父母世代での「洋行」と、今の「グローバル」。
行動は同じでも、「未来へのタイムマシン」や「共同体の為」という意味では、意義が全然違っている気がします。(未来へのタイムマシンについてまた別の時に。)


もちろん、とても世界で活躍していてglobalだと感じる人もいます。
でも、少なくない人が言っている「グローバル」が「American」に過ぎないようにしか見えないことがあります。
優秀な人が開拓すれば資源は無限にある、というフロンティア精神全開な前提に立てばAmericanな考えはプラスの方が多いですけれども、
既に人類活動にとって(少なくとも物質的な)”資源は有限”だと思います。(例えばに生態系循環のキャパシティ)
シェールガスの経済活動なんかは良い例だと思います。目先の需要が賄えて原油価格下がってますけど、CO2循環的にはどうなのか??


最近陥落しましたが、日本がGNP世界2位になったのは、40年以上も前。実は日本こそが他国にとっての「未来へのタイムマシン」となって見せることが、真の意味でのglobalだと考えています。


私がこういうことを自信を持って言えるのは、私がこれまでの人生の中で、最も高い知性をお持ちだと感じて師事した3名(大学での小宮山宏・元東大総長、元A3研所長の近藤哲二郎氏、そして私淑している内田樹氏)
もまた、そうした姿勢だから。





まぁ、今のところ、TRIZの良さを共有できる人より更に少ないのだけど、
"トリーズ"を広めればTRIZも徐々に学ぶ人が増えていくのと同様、
"グローバル"な人が増えれば、globalな人も増えるのかもなぁ、と好意的にとらえながら、


自分はトリーズ(TRIZ)による「母国語による異文化との出会い」の楽しさを伝えることで、
粘り強くglobalな仲間を増やしていきたいと思います。


このエントリをここまで読んでいただけてありがとうございます。