花見の無茶な句も正解です

花見の席でのリクエスト「桜とTRIZを組み合わせて一句。ぜひ矛盾を解決して下さい」

TRIZの方の職場の花見に、差し入れ持って2時間遅れで最後だけ同席させていただいた。


この花見では俳句を作ることが恒例になっていて、確かに後から読むと、その時の感じが思い出されていい企画だと思います。


そんな遅れてきた私に出されたお題。

  • 「桜とTRIZを組み合わせて一句。ぜひ矛盾を解決して下さい」


中々の無茶ぶり。
というわけで作った句は
「離れても 同期の桜 1トゥリーズ(1-TRIZ, 1-trees)」だったのだけど、少し推敲して下記ということで。


離れても 同期の桜 一つきき(聞き/嬉々/木木)

句の意味その1(TRIZなし)

離れても 同期の桜 一つ嬉々普段は離れていても、同期の桜たちは、(花見などで集まって)一つになって嬉々できるのは(喜ばしい気分だ)。


離れても 同期の桜 一つ聞き
離れている同期の桜(吉報)を(花見の席で)聞いて(喜ばしい気分だ)


TRIZ的視点や、TRIZとどう絡めてあるかは3つめの意味(木木)は次項で。


俳句や和歌が少ない文字数で深い意味を持てるのは、「1つの単語が2つ以上の意味を兼ねる」という日本語の同音異義語があってのものですね。発明原理なら<#6 汎用性原理>です。


離れても 同期の桜 一つ木木(with TRIZ#33 均質性原理)

この時の「同期」は、「同期生」という意味ではなく、「同期する(シンクロする)」という意味になります。

桜といえばソメイヨシノ(この日見ていたのも)。ソメイヨシノは、一本一本が離れていても、まるで同期しているかの如く一斉に咲く。

実は、ソメイヨシノ、不稔性(種を作ることができない)ので、我々がソメイヨシノと呼びならわしている複数の木々は、別の個体であるものの、実は元になった1本からの挿し木=クローンです。

ですから「桜の木」は一本一本が離れていても「一つの木」のように見えます。


ちなみに効率Upのために複数個体を用意したいが、それだと同期が取れなくなってしまう問題は
「1つの部品からクローンをつくる」という問題解決が思い浮かびます。

それは生体材料だけでなく、工業部品であっても「別ロットの部品を使っていたものを、同一ロットの部品で揃える」ことで解決する日があるかもしれません。

なお、これは発明原理で言えば、<#33 均質性原理>になりますね。

離れても 同期の桜 一つ木木(with TRIZ#40 複合材料原理)

さて、木木というのもTRIZと繋がっています。

木々は、英訳すればTrees。拙著によってTRIZの呼び名が「トリーズ」と思われている方が増えてしまっているとは思いますが、英語圏での読みは、むしろカタカナで描けば「トゥリーズ」に近く、Treesと同じ発音になっているのです。<発明原理#40 複合材料原理>
この発明原理は、複数の部品を「1つの複合材料」として扱う、という発明原理です。

我々が「桜」という時に、英語と違って「単数」か「複数」かを区別していません。


そのあたりの玄妙な美しさは、数年前の私の日記[]も参照にしていただければ幸いです