海の比重=公私のリソース差がほぼ0になった(後編)。

3回前の日記(沈みかけの船と、鼠と、海 - それも正解です)にて船(=企業)が沈みゆく理由。それは船の故障ではなく、海の比重が0になりつつある、というお話をさせていただきました。

http://d.hatena.ne.jp/so-so/20140309:前々回http://d.hatena.ne.jp/so-so/20140316:前回の日記にて海の比重が0になりつつある、とは、情報と資金、資材、技術に関して、公私の差が縮まった、というお話をさせていただきました。



さて、ではそんな中どうするか?


いよいよ本題です。

沈むゆく船への対処、創造的でない2つ。

1つめの正攻法は「船を軽くしつつ、まだ密度が濃い海域に移動する」ということでしょう。
大変「分かりやすい」方法で、これはある程度の経営者なら誰でも思いつきますので多くの企業でも行っていますし検討しています。


具体的には、途上国への進出ですね。
ビジネス雑誌なども「分かりやすい」話ですし何十年も前から、BRICsだの、NF11(ネクストフロンティア)だの、BoMだのと場所を変えながら、同じソリューション紹介を繰り返しています。


これは実は、途上国の人たちが「船」の作り方を学ぶ機会を収奪しているのですが、まぁあまり創造的でない経営者にとってみれば生きてくためには仕方ないところだと思います。

ただ、残念ながら海が皆繋がっていて、密度が違っていた水もすぐに混じり合うであろうように、どの国の経済も今や「あっという間に金融でリンク」するため、早晩、そのあたりの海域も薄くなることでしょう。



もう1つは攻めではなく守り。「薄くなった海中でも籠城できるように船を改造する」ということですね。

高いけれどもどこかから空気を大量に輸入したり、節約したり。
任・堂などのように社員が少なくて、貯金が何兆円もある企業はこれが可能です。(が、まぁお金そのものがどうなるかわからないのだけどそれは別の機会で)

が、ほとんどの企業には無理でしょう。


なので、第三の道を示したいと思いますが、その前に、私たちが載っている「船」って船で言えばどんな船なのでしょうか?

実は僕らが乗っている船は「海賊船」だった!?

 
 皆さんは「沈みゆく船」としてイメージするのはどんな船でしょうか?
 やはりタイタニックでしょうか?
 私もこの原稿を書く前には、「沈みゆく船」の際にイメージしていたのは客船でした。

 しかし、書いているうちに、実は企業というのは船の中でも、海賊船や戦艦に近いのだな、ということに気付き始めました。(特に大企業)



 昔、「大航海時代」という名作ゲームがありました。このゲームはドラクエなどと違って、特に決められた順路は無いのですが、序盤、中盤、終盤で以下のような流れになります。

 - [序盤] 安いが積載量が少ない小型帆船で、近海で貿易をして小銭を稼ぐ
 - [中盤] 大型商船で、新しい土地を見つけて珍品の貿易でがっぽりお金を稼ぐ
 - [終盤] 人手でこぐガレー船で、他国の艦隊と戦争して名声と資材を稼ぎ、爵位を上げる 


主人公は帆船に乗って初めは貿易で稼ぎます。
必要なお金や資材が少ないうちはこれで十分なのですが、大きなお金が必要になってくると、手間がかかって仕方ありません。

そのうちに、船を大きくすると、取れる手段が多くなり、船が大きくなるほど行ける世界が広くなり、どんどんお金が儲かります。・・・用意されている世界を行きつくすまでは。

用意されている世界よりも船が大きくなってしまうと、儲かる儲からないは、船の大きさではなく「有利なイベントが起きるか」の方にかかり、「不利なイベント」に出会ってしまうと多大なダメージを受けます。(ゲームだと船が遭難するとリセットしたりしますね)

そのうちに、軽量だが遭難の可能性が多い帆船から、ランニングコストが高いが安定しているガレー船で、他の船を狙う、ということになります。

不確定要素の多い自然に比べれば、船相手の戦争の方が、だいたいのアタりが分かるので、有利か不利かが分かったところで、戦争するか撤退かを決めればよいので、安定します。

こうして、貿易で始まった主人公が気づけば海賊稼業になっている、という素敵なゲームです。(勅命の為、名称は自国の艦隊扱いになったりしますが。)


・・・改めて見てみると、なんだかベンチャーのスタートアップと、ベンチャーからニッチを掘り当てて中小企業になったところと、そして大きくなった大企業をほうふつとさせませんか?(笑)(ちなみに私はこのゲーム大好きでした)


私も大企業と呼ばれている会社に勤めているので複雑な気分ですが、
100年後の未来から俯瞰的に見れば、

限られている地球上の資源を奪い合い、市場でシェアを奪い合い、労使間や株主間で利益の配分を奪い合っている「サラリーマン」というのは、「客船の乗客」というよりは「海賊船の下っ端海賊」の方がイメージが近いだろうと思われます。

もしくは、戦艦の乗務員でしょうか。そういえば、「競争」とか「戦略」という言葉、好きな人、少なくないですよね。


そして我々が海賊船なら、今まで商品を買っていただく個人は資金も資材も技術も情報もない「いかだ」に乗っているようなものでした。

ですから、個人よりも早く移動し、個人よりも多くの資源を採掘し、買い上げ、加工し、輸送し、個人に売って利益を上げてきました。

しかし、海の密度が下がってしまって、1/100に。
海というよりも、霧か霞のようになってしまい、海賊も商売あがったりです。


どうしましょうか、雲と霞が周りにあるのですから、仙人にでもなりましょうか?

・・・冗談のようでいて、メタファーとしては仙人が丁度良いのでは、と考えています。

「海賊」と言えば、「与える」と「奪う」では「奪う」ことを楽しむイメージでしょう。
一方で「仙人」といえば「何か教えてくれそう」。つまり「与える」ことを楽しむイメージだと思います。


「奪ったもの勝ち」の海賊の世界から、
「与えたもの勝ち」の仙人の世界が近づいてきた。


ようやく、良く聞かれる「so-soは転職したりしないの?」という問い(今日も同種のことを聞かれました)の答えに入れそうです。

ここまで、お読みいただき、ありがとうございました。

今回もこの文章で脳のどこかが刺激されたのであれば望外の幸せです

次稿をよろしくお願いいたします。


オマケ:とうとう次女が卒園しました!