[TRIZ]2017年TRIZ活動その3 夏休み!親子向けTRIZ

  • 7/28(金) 社内イベント@品川 および 厚木 【再】
  • 8/4(金) 社内イベント@品川 【再】
  • 8/6(日) 科学の祭典 神奈川大会@神奈川青少年センター 【再】
  • 8/8(火)、9(水) Technoedge2017@東大本郷キャンパス with 村上研究室 【再】
  • 8/20(日) 厚木市子ども科学館

夏休みはTRIZ玩具を中心にした親子向けのイベントをこれだけ開かせていただきました。
お陰様で昨年出展を行った団体からは全て、今年も再出展の依頼を頂きました。ありがたいことです。

7/28〜8/9の12日間に、のべ6回(7/28は2ヶ所開催)というハードスケジュールでしたが、うち2回を主導してくれたソニー技術士会長(当時)の中村さんを始めとして、同僚の皆さんや、家族、後輩たちなど多くの人のご協力を得て、今年ものべ1000人以上の親子にTRIZ発明原理を伝えることができました。


7/28の社内向けイベントは、本社では父と、会社で同志が3名、そして湘北短期大学のボランティアの学生たちに手伝っていただきました。厚木では、中村さんと、2年前からの私の教え子たちが頑張ってくれました。
続く翌週の8/4(金)のイベント出展は急きょ決まったものの、「子供たちに教えたい!」と思ってくれる同志がまた4人集まってくれて、100名ほどの親子の皆さんにTRIZを行うことができました。

詳細は別記するとして、基本的に「ベンハムの独楽」を作ってもらい、#19周期的作用原理を楽しんでいただきました。#4非対称性原理で缶の観察も子どもは分からない子もいましたが、親は結構驚いてくれました。

続いて「科学の祭典 神奈川大会」出展

次の8/6のイベントはほぼ中村さんが仕切ってくれ、日本技術士会神奈川支部の皆さんが手伝って下さいました。私は下の子を連れて、他の出展も含めて楽しませていただきつつ、2時間ほどフロアに立ちました。

その中に、特に喜んでくれた女の子3人組が居まして、「写真撮って紹介してもいい?」と聞いたところ、快く応じてくれた3人組が写真の3人です。

この子たちが長じる頃には、「発明原理」が当たり前のものとして広がっていると嬉しいなと思います

2017年4〜6月(引っ越し後〜東大生に授業)

  • 5/29(水)社内研修 【再】
  • 6/21(水)東京大学大学院 工学系工学科(機械)にて授業 【再】
  • 7/3(月) 東京大学 工学部化学系にて授業


5月に行った社内研修は、ある部門で公式なボトムアップ試作活動での「事前勉強イベント」として一昨年から繰り返し依頼いただいている内容です。今回も楽しんでいただけました。

また、今年も東大の授業が再依頼。さらに1件増え、そちらの方で「東京大学非常勤講師」の肩書もいただけました。2人組での教えあいを盛り込んだ授業は、お陰様で好評だったようで来年度にも行ってほしいと依頼が来ました。(通常は毎年異なる人がしているオムニバス系授業です)
内容としては

  • #4非対称性原理
  • #1分割原理
  • 9画面法


を行いました。

非対称性原理、を実感する部分では「ステイオンタブ缶の非対称性原理による観察」が、今年、多くの東大生や大人にヒットしました。2017年、累計で軽く百人以上の大人が「おぉぅ」と驚きの声を上げて、発明原理によって開かれる視野を実感してくれました、研修講師をしていてもちょっと気持ちが良く嬉しい瞬間です。(2月に参加した研修、この初回の軽い懇親会で出た「ビール缶」。その際に自己紹介用に思いつきました)


分割原理〜9画面法は、後輩たちが自身のキャリアを考える頼りになっていればと思います。なお、質問は6つも来ました(が、うち2つが日本チャンピオンになった「カタンの開拓者たち」の勝ち方だったのはご愛嬌)

2017年1〜3月(厚木〜中学受験〜引っ越しの裏で・・・)

〜昨年から社内でTRIZ勉強会継続。今年は9画面法

  • 1〜2月、社内でその教え子たちが9画面法活用して副社長を説得
  • 1月、社内のある新規事業gpで勉強会開始

(1〜2月長女の中学受験本番)

(2〜3月の社外研修で9画面法大人気)

  • 3/28(火)あゆのこ保育園

(4月引っ越し)

2年前より私から厚木でTRIZを学んでくれている教え子たち。そのうちの1人が、とある社内有志活動を副社長にプレゼンに行ったところ、惨敗。他メンバーにTRIZ9画面法を教えての再挑戦で見事リベンジしてくれました。


実はこの3ヶ月はほとんどTRIZイベントはしていませんでした。
というのも2017年初めの1〜2月上旬は、長女の中学受験本番。ここでは語りつくせないほどの諸々がありましたが、最後に結果が出ました。なにより長女の精神力に友人たちも驚いていました。その合格結果に従って厚木から今の住まいへと引っ越しました。
引越先を探す一方で、保育園児も居るので、保育園申し込みもしないといけないというハードスケジュール。妻がガンガン調べてくれて助かりました。

実はこの年初付近に今までの活動に対して「知の構造化」よりもVividな「鳥居型人材」というコンセプトワードが思い付きました。


2〜3月に受けた異業種協業型の社外研修で、9画面法を使ってメンバー間の議論を整理したところ「実際の研修内容よりも9画面法の方が学べてよかった」、という、研修の感想をいただいてしまうほどでした。


引っ越しを控えた3月末に、7年間お世話になった保育園で、卒園間近の年長さんにも発明原理を教えたところ、とても喜んでもらえました。(もともと、夏の親子向けTRIZワークショップでも未就学児が良く来てくれます)

4月以降についてはまた明日。

2017年TRIZ活動 全体

お陰様で、2017年も昨日掲載させていただいた 鳥居型人材による鳥居型産業の創生 - それも正解です に向けたTRIZ活動に関して多くの方からのお力添えをいただき、下記のような活動を行えました。皆様に厚く御礼申し上げますと共に、ざっくり4半期ごとにふり返っていきたいと思いますので、お付き合いいただけますと幸いです。

以下、【再】マークは、昨年に続いての再依頼(リピーター)です。

どのイベントも事務局の方が人集めをしていただき、また当日は様々な方にご助力いただきました。

2017年1〜3月(厚木〜中学受験〜引っ越しの裏で・・・)

(2〜3月の社外研修で9画面法大人気)

  • 3/28(火)あゆのこ保育園にて年長さんに紹介
5月頃より徐々に復活
  • 5/29(水)社内研修 【再】
  • 6/21(水)東京大学大学院 工学系工学科(機械) 【再】
  • 7/3(月) 東京大学 工学部化学系


夏休み!親子向けTRIZ
  • 7/28(金) 社内イベント@品川【再】
  • 7/28(金) 社内イベント@厚木 【再】:中村技術士主導
  • 8/4(金) 社内イベント@品川 【再】
  • 8/6(日) 科学の祭典 神奈川大会@神奈川青少年センター 【再】:中村技術士主導
  • 8/8(火)、9(水) Technoedge2017@東大本郷キャンパス with 村上研究室 【再】
  • 8/20(日) 厚木市子ども科学館

9月以降
  • 9/21(金)TRIZシンポジウム発表
  • 9/28(木) 県立相模原高校 【再】
  • 11/10(金) 社内の公式研修
  • 11/18(土)、19(日)ロボフェスタ@相模大野【再】:中村技術士主導
  • 12/1 (木) 日立技術士会様向け:中村技術士主導
  • 12/15(金)産業総合技術研究所【再】
  • 12/17(日) ScienceWinter@厚木市子ども科学館 (【再】)

鳥居型人材による鳥居型産業の創生

酉年最後の大安に、「鳥居型人材」と「鳥居型産業」の創生について宣言したいと思います。

「鳥居型人材による鳥居型産業の創生」というコンセプトは

提供価値は、技術蓄積を基にした新規事業創出
顧客は、技術蓄積の大きい組織およびその構成員(後述)
根拠は、分野を超えた課題解決の共通言語 TRIZなら過去の知を抽象化し、異分野に伝わる知にできることです。



上記の顧客は、まずは企業や団体ですが、最終的には日本、そして世界だと考えています。そのことで、次世代も安心して暮らせる社会にするのが目標です。


これを実現していくために、TRIZを軸にこれまでも行動してきましたし、これからも頑張って行こうと思います。TRIZを拡げるのが目的ではなく、この鳥居型産業を創生するのが目標であり、TRIZなどがその手段です。


目標に対し、まだまだ微力な自分ですが、来年以降も折に触れ、ご助力いただいたり、色々とお教えいただければ幸いです。



以下は鳥居型人材や、鳥居型産業についての定義や補足説明です。


鳥居型人材について

鳥居型人材とは、「T型人材」の発展形である「Π(パイ)型人材」のさらなる発展形です。


T型人材とは、1つの専門分野で深い知見(=問題解決経験)をもっているだけでなく、幅広い分野の人と話せるだけの知見(教養)を持っている人材のことでした。(専門分野だけの人をI型、教養だけの人が一型)
これに対し、Π型人材と呼ばれるのは、1つではなく、2つ(以上)の専門分野を持っていることです。


Googleの登場で他分野の技術が調べやすくなり、2つ以上の専門知識を持つΠ型人材にはなりやすくなりました。


しかし、せっかく2つの専門知識を持っていても、その2つの分野を融合しないと、新しい価値は生まれません。
鳥居型人材は、この2つの専門分野をただ持っているだけではなく、この2つの専門分野の知見を「技術的に一段深いところで融合できる」人材です。

IT業界を例にしたT型→Π型→鳥居型 人材

IT業界では、複数のプログラミング言語を操れ、要件定義もでき、デザインパターンを知っているような人が「鳥居型人材」の一例です。

オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン

1つの言語だけでしかプログラムをかけないプログラマがI型人材。
プログラムはかけないが、顧客のビジネスに合わせた要件聞き出しはできる「営業的SE」が一型人材

→一型なSEはしばしばプログラマにとって無茶な要件を顧客と約束してきます。

何か1つの言語はプログラムがかけて、顧客のビジネスに合わせて、そのプログラミング言語での実装形態も想定しつつ要件定義ができる、「プログラマあがりのSE」がT型人材

→T型人材はプログラマ側にとっては妥当な要件定義をしてくれるけれど、顧客側にとっては割高な要件定義になる可能性があります。

複数の言語でプログラムがかけて、顧客のビジネスに合わせて、最適なプログラミング言語を提案しつつ要件定義ができる、「頼りになるSE」がΠ型人材

→Π型なSEはプログラマ側にとっては妥当な要件定義ができ、顧客側にとってもリーズナブルな要件定義になる可能性が高い。


でも、「既にある複数の選択肢から何かを選ぶ」という方向は人間よりもAIの方が得意になります。

そこで、そんなΠ型なSEが、デザインパターンを学んで「言語を超えたIT実装の共通性の勘所」が分かる鳥居型人材

になると、自分の学んでいないプログラミングの範囲や「プログラミング以外を使う」ことも含めて実現可能性が出てきます。


プログラマ同士でも、デザインパターンという概念が通じる同士か否かで、議論の質が大きく変わるのは、デザインパターンをご存知の方は分かると思います。


鳥居型産業について

鳥居型産業とは、現在よく行われがちな「Π型の協業」による失敗を避け、日本に新産業を産むためのコンセプトです。


ICTの発展による異業種交流機会の増加、そしてT型人材の活躍により異なる専門分野を持つAとBによる協業というものはよく行われる機会が増えました。


しかし、企画段階ではA・B各社(各部門)の強みが議論されるものの(Πの横方向)、いざ、それぞれの専門分野が必要となる実行(実装)段階となると、A・Bそれぞれでの実行に落ちてしまい(Πの縦方向)、結果的にあまりいいものが生まれていないのが現状だと考えています。


これは、結局のところ、AとBのお互いに持っている専門的な問題解決経験について、「技術的に一段深い融合」がなされていないからだと考えています。
そこで必要なのが、鳥居型人材のところでもふれた「何ができるかを、技術的に一歩深い形で教えあい、語り合える、共通言語(鳥居の下の横棒)」だと考えています。

そのためには、前述の鳥居型人材が必要だと考えています。

鳥居型人材を養成する一手段としてのTRIZ

TRIZ(トリーズ)は世の中で「問題解決手段」の(もっとも強力だが最も難しい)一つとして認識されています。
しかし、私にとってはTRIZは「問題解決手段」の前に、「自分がかつて行った問題解決を異なる分野の方と共有する手段」として有用だと考え、利用しています。


実際、TRIZ(トリーズ)は超発明術、として日本で紹介されましたが、もともと、TRIZが発明されたのは、ロシアの天才、G・アルトシューラーが

「ある分野で新しい問題解決とされたものは、9割方、他の分野では解決済の問題であった」

という発見から始まり、「分野を超えた問題解決の方法」としてできあがっていったものでした。ですので、TRIZの使い方としては相性が良いと考えています。

トリーズ(TRIZ)の発明原理40 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考支援ツール
(発明・特許カテゴリのベストセラー1位を獲得した拙著、お陰様で第3刷)

コンセプトの再掲と、クリエイティブ・コモン宣言

ここまで長文をお読みいただき、ありがとうございました。
最後に再掲ですが「鳥居型人材による鳥居型産業の創生」のコンセプトは

です。


上記の顧客は、まずは企業や団体ですが、最終的には日本、そして世界だと考えています。
これを実現していくために、TRIZを軸にこれまでも行動してきましたし、これからも頑張って行こうと思います。
目標に対し、まだまだ微力な自分ですが、来年以降も折に触れ、ご助力いただいたり、色々とお教えいただければ幸いです。



(今のところ、Google検索しても他にお一方しかいないようです。似た用法ですが、“熟成した教養”という言葉で、似たことを指していると思われます。
 どれだけの効力があるかわかりませんが、「鳥居型人材」「鳥居型産業」というフレーズは発明シンボル同様、、この場でクリエイティブコモン(CC-BY)であることを宣言しておきたいと思います)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス